맛있어요(マシッソヨ)

『ここが私のアナザースカイ』…..と、考えたら韓国ソウルである。

本当は『イギリス コッツウォルズ地方のキャッスル・クーム』と、言いたいのだが、どう考えても私たち夫婦は韓国ソウル東大門市場であろう….【ともえ座のいえ】の前身の会社は二つあった。

住宅会社を個人で立ち上げ、最初はなかなかうまくいかないのは当然で、元々の商売がアパレルだったのでアパレル販売と建築・デザインの二本立てで生計をたてていた時期が少しあった。韓国ソウル市内の東大門はプロの仕入屋さんが通う市場である….最初はカルチャー・ショックを受けたが私はここからが面白い。

初ソウル上陸の翌日、奇跡にも明洞の街中で美しい女優のようなバイヤーと出会ったのである….まるで映画のような話しである。私の『鬼気迫る』服の選び方の目つきと態度を観察していたブティックの雇われ店長をしていた絶世の美女から声をかけられたのだ….「あなた日本人の服飾関係者ですね?あなたのためにはこの店で買ってはいけません」と流ちょうな日本語で話しかけられたのだ…..

「店を出ましょう」彼女を信じてついていくと卵焼きがおいしいお昼時期のごったがえす食堂だった。「人間の活力は食べることです。日本人はマクドナルドをお昼ごはんにしていますが、あれはダメです。あれはおやつです」と熱く語る美しい女性はエイキョウという名前だった……留学生として大阪芸大に通っていた過去がある才女だった。「私 憂鬱と漢字で書けます」と自慢するので「そういう女性は、可愛げがないですよ」と指摘すると….沈黙のあと「杉本さんは真面目な方ですね。奥さんはいますか」と聞かれ「はい。すばらしい女性で私は妻の大ファンなのです」と話すとエイキョウの顔の筋肉が緩んだ…..

私の素性と仕事のことを語るとエイキョウは真剣に耳を傾けた。場所をかえ明洞に当時でき始めたアメリカ シアトル系のコーヒー店の二階から明洞の街を眺めながらエイキョウは「私は杉本さんにジーンズの工場や仕入場所を教えます。杉本さんは私にメンズのデニムやシブカジ・ファッションのことと美術建築や自宅ショップの造りかたを教えてください」と、まっすぐな瞳で語っていた….彼女は元気にしているのだろうか….iモード時代に二回ほどメールを全てカタカナでもらった….『ニンゲントハ ムズカシイ イキモノデスヨネ』と哲学的な文章だった。私はその後アパレルを完全に辞め建築デザインという荒野を目指した…..途中、住宅営業マンというサラリーマンも1年半ほど経験した。おそらくふつうのサラリーマンの10倍は働いて、5倍は稼いだ。

エイキョウのおかげで二度目のソウル訪問時に東大門市場のはずれのサムホ・ホテルを予約してもらった。そのサムホ・ホテルを定宿にして私と妻で交代で仕入をしに来た。仕入れの仕事だけでお互い16回以上はソウルに来ている。今回の訪問でサムホ・ホテルは経営者が変わって別の名前になっていた….私たちはここ5年で3回ほどソウルにきているがロッテ・ホテルに宿泊している。ロッテ・ホテルは高級なサービスと空間と部屋を提供しているのだが、サムホ・ホテルの電気毛布と電気敷布が懐かしい…..「スギモトサン!エルメス コピー カワ(皮)カイマセンカ!」「スギモトサン イクラ オカネ モラッテルデスカ? オカネモチ デショ?」….フロントの金さんは商売根性たくましい人だったな….

サムホ・ホテルの同じ通りにあるこの店は東大門市場の奥まったところにある私たち御用達の店でコーラやお菓子の賞味期限が切れているものが普通に売っていて店番のおじさんはいつも寝ている。東大門市場は24時間眠らない街で活気にあふれている。妻は夜中に必ずここでコーラとポテトチップスを買ったそうだ….今回もあまりの懐かしさに店の前を通ると、やはりおじさんは居眠りの最中であった…..

ロッテホテルのある明洞地区から東大門市場に歩く途中、仁寺洞(インサドン)近くのおかゆ専門店で朝ごはんで食べたアワビ粥が絶品でカニ肉4倍粥は負けていた….

仁寺洞(インサドン)では韓国建築が堪能できる。民家を改造したショップや飲食店もすごく素敵である。

韓国料理は本当においしい。

おそらく日本人の味覚にあうのだろう….イタリアもおいしいので日本食を食べたい気がなくなる。美食のパリでさえラーメンを食べてしまったが韓国は朝から夜まで胃袋がたくさんあったら10回くらいご飯を食べたい….

広蔵市場(カンジャン・シジャン)は食の屋台大集合天国だ。仁寺洞から東大門市場の間に位置している。明洞地区からゆっくり歩いていくのは楽しい。気温はマイナス2度だが夜にはマイス8度くらいになる。冬のニューヨークにくらべたら暖かく感じる。【ともえ座のいえ】はマイナス20度以上になる草津温泉のある草津でも暖かく暮らすことができる。断熱材や窓・サッシ性能を上げると寒い冬は快適だ….

あまりに寒いので自前のおしゃれなコートでは寒くなり、かなり暖かいグース・ダウン(水鳥の羽毛)の超ロングコートを145000ウォン(約14000円)で購入した。この値段が韓国!さすが!という感じでカナディアン・グースのコピーのような商品だが馬鹿みたいに暖かい…..極寒地に行くときは重宝しそうだがスーツケース半分がパンパンになるほど分厚い。NORTH FACE(ノース・フェイス)の9万円越えのダウンジャケットと暖かさは遜色なかった….

広蔵市場の屋台の椅子は電気式カーペットのようなものが敷いてありお尻が暖かい。小豆粥の店は相変わらず行列を作っている(甘くないお粥)….私たちはキンパ(韓国のりまき)とホットサンドを食しにこの市場まで歩いてきた。キンパとトッポギ(韓国の辛いおもち)、チャプチェ(韓国春雨いため)は最高に美味で、マッコリがどんぶりで二杯来た。私は一口呑んであとは妻が『うまッ!!』とゴクゴクおいしそうに呑んだ。二人でお会計は17000ウォン(この日は1650円)!….安い….そして美味しい…..韓国万歳!!

私の一番好きな韓国の味はホットサンドというトーストをバターで焼いて、卵焼きを挟みシナモン・シュガーをかけるジャンクな一品で、昨年放送された『アナザー・スカイ』のIKKOさんも大好きだと話していたそうな….IKKOさんにも大変な時期があったのだという….人間みななにかしらの山谷はあるものだ….

私たち夫婦も大変な時期を経て今がある。今は、【ともえ座のいえ】を建てたいお客様がたくさんいてくださり 巴座ホームアンドピクチャー社は過去最高の決算を迎えることができるようになった….来期もすでに受注が相当数入っていて今期を越えると予想される。真面目に仕事に取り組んできて良かったと心から思うのだが、真面目に仕事の取り組んでいる会社はごまんといる。努力だけではうまくいかないことも私は知っている。

妻や娘たちまた多くのお客様たち、職人の皆様、関連会社様たちが【ともえ座のいえ】をささえてくれている….

私の妻はいつも笑っている。

そして妻はとても明るい性格である。

だから家が暗くならない。「パパすごいね~」と、いつも私を褒めてくれる(おだてているにせよ気持ちが良いものだ)

そんな私たちが飲食店に入ると大騒ぎである「うんまッ!!」「やばッ!うまッ!」と大喜びするのでお店の人はたいてい喜ぶ。そして食堂のオモニ(お母さん)に言葉を教えてもらった…..

맛있어요(マシッソヨ)  【おいしいです】の意味である。

맛있어요(マシッソヨ)

맛있어요(マシッソヨ)